労働トラブルQ A

不当解雇

上司からの執拗な退職勧奨で精神的に参っていまいました。

A. 退職について即答するよう求められても、感情的になって怒ったり、その場で回答したりするのは避けてください。辞表を出すよう促された場合も同様です。「重大な問題ですので持ち帰って考えます」と答えるとよいでしょう。
日本の法律では、解雇については厳格に規定されているため、みだりに従業員を解雇しようとする会社の多くは、後の紛争を回避する目的から、最初に自主退職するよう促す傾向にあります。執拗な退職勧奨にお困りのときには、弁護士にご相談されることをおすすめします。

長期間働いても、派遣社員は契約満了時、雇止めに応じなければいけない?

A. 雇用期間に定めのある契約社員であっても、契約満了時に雇用主の一方的な都合で契約の打ち切りができるとは限りません。これまでの契約更新の回数や業務内容を客観的に判断して、雇用期間に定めのない正社員と同等だと見なすことができる、あるいは、使用者が契約更新に関して期待させるような言動をしていたなどという場合は、契約の打ち切りが無効と判断されることもあります。雇用期間に定めのない正社員と同等だと見なされるか否かは事例ごとに判断されますので、弁護士にご相談されることをおすすめします。

パワハラ

転職したものの、仕事の引き継ぎを受けていないので具体的な成果を出せていません。「期待外れだ」と言われ、居づらくなっています。

A. 暴言・暴力、大勢の前での叱責を繰り返す、ミスをすると必要以上に長時間説教するなどは、わかりやすいパワハラの事例です。他に、新入社員に業務の引継ぎを行わないにもかかわらず、高い成果を求める(過大な要求)、逆に、本来の業務以外の単純作業だけしか与えない(過少な要求)なども、行為の対象者にダメージを与える行為といえます。会社に対して改善要求をしたにもかかわらず、状況が変わらない場合は、パワハラとみなされる可能性があります。加害者との会話を録音しておくと、後の交渉の過程で証拠として利用できることがあります。

転属先の部署で仲間はずれにされて鬱病に。

A. パワハラは、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の範囲を超えたところで不快感を与える行為のことをいうのに対し、いじめは、年代が近い社員や同僚から受けるハラスメントをいうことが多いようです。社内のいじめに起因する精神疾患や自殺に関する交渉では、被害者が、いつ、どこで、誰に、どんなハラスメントを受けたかを立証できる資料があると有利です。

セクハラ

セクハラに悩んでいます。誘いを断ったら転勤だと言われました。

A. 性的な言動に抵抗・拒否することで、解雇や減給などの不利益を受けるのは、対価型のセクハラにあたります。誘いを断ったことで、いやがらせとして性的な噂を流され、それに抗議をしたら減給や降格になったというケースも同様です。セクハラは、ハラスメントを受けたことを立証する証拠が重要ですので、泣き寝入りしたり早まって退職したりする前に、弁護士にご相談されることをおすすめします。

宴会で、男性の上司に全裸になるよう強要され、逆らえませんでした。(相談者は男性)

A. 男性から女性に対して行われた行為だけでなく、女性から男性に対して、また同性間であっても、相手が嫌がる性的な行為を強要すればセクハラにあたります。この事例は、宴会で行われた行為ですから、それを見た女性社員が不快に思えば、その女性社員に対するセクハラにも該当します。
特に男性が被害者の場合、他者に助けを求められずにひとりで悩むことが多いようです。セクハラを長引かせないためにも、加害者に不快に思っていることをしっかりと伝え、それでも解決しないなら、上司や会社側に相談しましょう。

セクハラを受けていると会社に相談したのに、会社側が対応してくれません。

A. 雇用主側には、従業員に対して良好な職場環境を整備する義務があります。会社に相談したけれど埒があかない場合は、社外の相談窓口の利用も検討されてみてはいかがでしょうか。セクハラの相談窓口には、都道府県労働局総合労働相談コーナー、都道府県労働局雇用均等室、弁護士会等があります。

残業代

管理職は、深夜まで働いても残業代がでないのですか。

A. 労働基準法には、管理職という地位の規定はなく、「管理監督者」が管理職に相当すると考えられています。労働基準法では、一般労働者に対しては、時間外労働や休日出勤の割増賃金について規定されていますが、管理監督者には適用されません。
一方で、実質的な業務内容が管理監督者にあたらないのに、役職を理由に残業代を支払わなかった企業に対し、東京地裁がこれを支払うよう判決を下したいわゆる「名ばかり管理職」については、記憶に新しいところです。なお、管理監督者であっても、深夜残業の割増賃金や年次有給休暇の規定は適用が除外されません。
以下は、管理監督者に該当するためのメルクマールです。判断基準は厳格で、一般企業の役員相当が該当すると思われます。

1.事業主(会社)の経営に関する決定に参画し、
労務管理に関する指揮監督権限を認められていること
2.自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること
3.一般の従業員と比べて、その地位と権限にふさわしい賃金上の処遇
(基本給、賞与、役職手当など)を与えられていること

ご自身の残業代に関して疑問がおありでしたら、弁護士にご相談されることをおすすめします。

深夜まで働いても残業代が2時間分しかでないのですが。

A. 労働基準法では一般労働者に対して、1日8時間を超える部分の労働について、残業代を支払わなければならない旨規定されていますが、同規定の適用外になっている職種があります。業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、手段や時間配分の決定などに関し、使用者が具体的な指示をすることが困難とされる職種です。これらの職種については、あらかじめ所定の時間労働したものとみなす、「みなし労働制(裁量労働制)」が認められていて、残業を一定の時間とみなして労働契約を結んでいることが一般的です。しかしながら、みなし労働制に適さないに職種であるにもかかわらず、みなし労働制を適用されているケースもありますので、残業代に関して疑問があれば、弁護士にご相談されることをおすすめします。

家族が過労死しました。でも会社は因果関係を認めません。

A. 勤務中の事故で亡くなったことが明らかなら、すみやかに労災認定されますが、長期間にわたる過酷な長時間労働の末に心筋梗塞や脳梗塞で亡くなった場合、精神疾患にり患した場合、または自殺した場合は、認定をめぐって紛争になることがあります。同様の事態に至らないまでも、生命に危険を及ぼしかねないほど長時間労働が続いている場合は、深刻な状況に陥る前に弁護士にご相談されることをおすすめします。

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